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塾長トーク

35.9冊 2009年12月

 健気(けなげ)   健やかな心 

 健気は、普通ではない、特別だという意味の「異(け)なりげ」という言葉が、変化したものだといわれます。 昔は、どちらかというと健康だという意味で使われたようです。 健康だということが、普通ではない、貴重な時代だったのでしょう。 

 やがて、勇ましいという意味や、心がけがしっかりしている、まっすぐ困難に立ち向かう、という意味でも、使われるようになっていきました。 これらは、心が健康であればこそ、できることだといえます。 

 現代は、身体の健康よりも、心の健康の方が当たり前のことではない時代になってきたようです。だからこそ健気な姿には、勇気づけられたり、感動させられたりするのでしょうね。

                      「美人の日本語」(幻冬舎)より  

 35.9 冊      

 

 文部科学省が1954年度より3年に一度実施している社会教育調査で、子供の読書活動が活発化している実態が浮かんできました。2007年度、図書館を利用する小学生が借りた本は、平均35.9冊で、前回の調査より2.9冊多く過去最多となっています。

 図書館の数も調査ごとに増加して、調査開始時の4倍以上の3165施設となり初めて3000を越えています。文科省は「図書館は身近な公共施設で、特に子供への読書活動が習慣として定着しつつある」と分析しています。 

 1997年の学校図書館法改正で、子供に本のアドバイスをする司書教諭の配置が98年度から本格的に始まりました。子供の読書活動を推進する法整備など、その後も行われ、「朝の読書」に代表される全国一斉読書活動の実施率は、2000年度当初の7割から、08年度は小学校で9割を超えています。

 ただ、司書教諭の配置は伸び悩んでいて、小学校では6割程度です。先月この紙面で「学校図書館活用教育フォーラム」の記事をちょうど紹介したところです。 自治体ごとに策定が定められた読書推進計画については、策定率36%(今年3月末)で都道府県ごとにかなりの差があります。

 過日行われた行政刷新会議の事業仕分けでは、地域や家庭が子供の読書活動を支援する事業が「廃止」となりましたが、周囲の大人が良書を推薦したり、読み聞かせなどを通じて本の楽しさを教えていくような、家庭や地域を巻き込んだ取り組みが不可欠でしょう。子供の読書環境を整えていくことは、大人の責任です。(11月13日付「読売新聞」参考)  

 フィンランドに学ぶ   

 OECD(経済協力開発機構)のPISA(学習到達度調査)で、フィンランドは、3項目(数学的応用力・科学的応用力・読解力)すべてにおいて世界トップクラスの成績で、日本は学力低下が浮き彫りになった結果が発表されたことは記憶に新しいと思います。

 フィンランドの学習法に高い関心が集まり、「フィンランドメソッド」をうたう読書法や作文の書き方、算数ドリルといった学習関連本も相次いで出版されました。知識詰め込み型の学習ではなく、自ら問題を発見して、自分の言葉で表現し、考える力を身につけるフィンランド式は大いに参考になると思います。

   『フィンランドの教育力』(学習研究社)の著者で、10年間小学校教師をしていたリッカ・パッカラさんは、「フィンランドでは、母国語をとても大切にしています。新聞や本をよく読み、家族で社会のいろいろな問題について語り合う機会が多い」また「算数の問題を解かせる際には、日常生活の中で扱えるような文章題にして指導していた」「勉強は強制ではなく、楽しんで身につけるもの。そのためには、教師も子供のレベルに合わせてさまざまな方面から教えられるようトレーニングを怠りません」と語っています。  

 フィンランドがなぜPISAでうまくいったのか、フィンランド教育省は、次のように公式に説明しています。

   1. 家庭、性、経済状態、母語に関係なく、教育への機会が平等であること。

   2. どの地域でも教育へのアクセスが可能であること。

   3. 性による分離を否定していること。

   4. 全ての教育を無償にしていること。

   5. 総合制で、選別をしない基礎教育。

   6. 全体は中央で調整されるが実行は地域でなされるというように、教育行政が支援の立場に立ち、

  柔軟であること。

   7. 全ての教育段階で互いに影響し合い協同する活動を行うこと。仲間意識という考え。

   8. 生徒の学習と福祉に対し個人に合った支援をすること。

   9. テストと序列付けをなくし、発達の視点に立った生徒評価をすること。

   10. 高い専門性をもち、自分の考えで行動する教師。

   11. 社会構成主義的な学習概念  

  つまり、教育立国ということです。その背景には、大人も子どもも読書好きであることが上げられます。国民の約8割は、日に1時間の読書をし、一人当たりの図書館利用率は世界一ということです。

  日本のとるべき道も教育立国のはずです。大いに学ぶべきでしょう。フィンランドのテストは、ほとんど作文(エッセイ)で、英語や国語はもちろん、化学、生物、音楽までもエッセイなのです。つまり、自分の考えを文章にして書かせるのが一般的なテストで、穴埋め問題などはなく、すべて記述式で、制限時間もないそうです。テスト前は、やたら分厚い本をかかえて、それを読んで知識を詰め込むことをしているようです。 

  教育レベルは世界一でも、アメリカで起きた乱射事件と同じような事件も起きてしまっています。どこの国でも、まったく問題がないなどということはありません。それでも、生徒がとてものびのびとして自由に毎日を過ごしているということが伝わってきます。 

  『フィンランド・メソッド』シリーズ(経済界)の編集者は、「現地には『フィンランド・メソッド』と呼ばれるような特別な教育法はなく、ふだんの生活から生きる力を身につけられるように、自分で考え、理由をはっきりさせて相手に分かりやすく伝えることを習慣化させている」と説明しています。 作文や読書感想文を書くとき大切なことは、書きっぱなしにせず、音読しながら、どうしてそうなるのか、筋が通っているか、相手が理解できるような言い方をしているか、といった点を改めて確認することです。そうすることを意識していくなかで、発想力や論理力、表現力などが鍛えられていくのだと思います。

 

 

2010.01.25  投稿者 ikueigk (23:45) | PermaLink

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